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新潟地方裁判所 昭和52年(わ)181号 判決 1977年10月19日

本籍

新潟県東蒲原郡津川町大字常浪甲一、〇二〇番地

住居

新潟市有楽一丁目一〇番一三号

職業

会社役員

杉崎こと

杉﨑庄吉

昭和一四年七月三日生

本店所在地

新潟市藤見町一四番地三〇

杉﨑基礎株式会社

右代表者代表取締役

杉﨑庄吉

右杉﨑庄吉及び杉崎基礎株式会社に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官中尾勇出席のうえ審理し、つぎのとおり判決する。

主文

被告人杉﨑庄吉を懲役一年二月に、同杉崎基礎株式会社を罰金二、五〇〇万円に処する。

被告人杉﨑庄吉に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人会社は、新潟市藤見町一四番地三〇に本店を置き、土木及び建築工事請負業などを営む資本金一、六〇〇万円の株式会社であり、被告人杉﨑庄吉は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人杉﨑は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注費などを計上し、これによって得た資金を殖産相互銀行新潟支店などの金融機関に無記名又は架空名義の預金口座を設けて簿外預金を蓄積するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和四八年四月一日から同四九年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一六三、七一八、八五一円(別紙一修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が五九、三五五、五〇〇円(別紙四の税額計算書中の同事業年度分参照)であったのにかかわらず、同四九年五月三一日、同市営所通二番町六九二番地の五所在の所轄新潟税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二二、二四八、五一四円で、これに対する法人税額が七、三六五、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額五九、三五五、五〇〇円と右申告税額との差額五一、九九〇、二〇〇円を免れ、

第二  昭和四九年四月一日から同五〇年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一三九、九七七、九九〇円(別紙二修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が五四、八三一、〇〇〇円(別紙四の税額計算書中の同事業年度分参照)であったのにかかわらず、同五〇年五月三一日、前記新潟税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三七、一一六、〇〇三円で、これに対する法人税額が一三、六八六、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額五四、八三一、〇〇〇円と右申告税額との差額四一、一四四、四〇〇円を免れ、

第三  昭和五〇年四月一日から同五一年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一二一、八二一、五五二円(別紙三修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が四七、一五七、五〇〇円(別紙四の税額計算書中の同事業年度分参照)であったのにかかわらず、同五一年五月三一日、前記新潟税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五〇、八四八、二〇二円で、これに対する法人税額が一八、七六八、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額四七、一五七、五〇〇円と右申告税額との差額二八、三八九、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一、被告人杉﨑の当公判廷における供述

一、被告人杉﨑の検察官に対する供述調書

一、被告人杉﨑の収税官吏に対する昭和五一年六月九日付、同五二年二月二日付、同月八日付、同月九日付及び同月一〇日付各質問てん末書

一、被告人杉﨑作成の昭和五一年八月六日付、同年一〇月二〇日付、同月二一日付、同年一二月一七日付及び同五二年二月二日付各答申書

一、加藤静夫及び赤塚純一の検察官に対する各供述調書

一、樋口忠、伊保橋正義及び水島敏の収税官吏に対する各質問てん末書

一、前原武(昭和五一年六月一一日付)及び赤塚純一作成の各答申書

一、収税官吏作成の「修正損益計算書及び脱税額計算書」、「科目別修正仕訳調査書」、「棚卸、完成工事高調査書」、「外注工賃調査書」、「複雑な通謀架装取引調査書」、「未払金架空計上額調査書」、「簿外預金残高等調査書」、「青色特典否認等調査書」及び「期末簿外現金残高調査書」と題する各書面

一、新潟税務署長作成の「証明書」と題する書面

一、検察事務官作成の電話通信書

一、登記官作成の商業登記簿謄本

判示第一、第二の各事実につき

一、被告人杉﨑作成の昭和五二年一月二〇日付答申書(検察官請求証拠等関係カード番号37)

判示第一の事実につき

一、被告人杉﨑作成の昭和五二年一月一七日付答申書

一、収税官吏作成の「事業税認定損(49/3期)調査書」と題する書面

一、押収してある元帳(昭和四九年三月期)一綴(昭和五二年押第三九号の1)及び仕入帳(48・4~49・3)一綴(同号の4)

判示二、第三の各事実につき

一、被告人杉﨑の収税官吏に対する昭和五二年二月一八日付質問てん末書

一、被告人杉﨑作成の昭和五二年一月一八日付、同月一九日付及び同年二月一日付各答申書

判示第二の事実につき

一、収税官吏作成の「事業税認定損(50/3期)調査書」と題する書面

一、押収してある元帳(昭和五〇年三月期)一綴(前同号の2)及び仕入帳(49・4~50・3)一綴(同号の5)

判示第三の事実につき

一、被告人杉﨑作成の昭和五二年一月二〇日付(検察官請求証拠等関係カード番号38)及び同年二月八日付各答申書

一、前原武作成の昭和五二年二月一〇日付答申書

一、収税官吏作成の「越後証券(株)調査書」及び「事業税認定損(51/3期)調査書」と題する各書面

一、押収してある元帳(昭和五一年三月期)一綴(前同号の3)及び仕入帳(50・4~51・3)二綴(同号の6の1及び2)

(法令の適用)

一、罰条

被告人杉﨑につき各法人税法一五九条(各懲役刑選択)同杉﨑基礎株式会社につき各法人税法一六四条一項、一五九条

一、併合罪の処理

被告人杉﨑の判示各罪につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に加重)同杉﨑基礎株式会社の判示各罪につき刑法四五条前段、四八条二項(各罪所定の罰金額合算)

一、被告人杉﨑の刑の執行猶予

刑法二五条一項

一、訴訟費用

各刑事訴訟法一八一条一項但書

(裁判官 白木勇)

別紙一

修正損益計算書

自昭和48年4月1日

至昭和49年3月31日

別紙二

修正損益計算書

自昭和49年4月1日

至昭和50年3月31日

別紙三

修正損益計算書

自昭和50年4月1日

至昭和51年3月31日

別紙四

税額計算書

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